更新日:2023年12月1日

身体の痛みの謎に迫る:足のバイオメカニクスと全身の調和の秘密!

身体の痛み、たとえば腰痛や膝痛、これらの不快な症状は、日常生活に支障をきたすことがあります。しかし、意外かもしれませんが、その原因は足に関連している可能性があることを知っていますか?バイオメカニクスの観点から、足の健康が身体の痛みにどのように影響を与えるかを探ってみましょう。

日本フットヘルス協会理事長渡辺英一先生監修

【 専門家監修 】
一般社団法人日本フットヘルス協会 理事長  
渡辺 英一 先生

2003年 
Portland State University トレーナー Workshop 受講終了
2004年 
オーストラリア・アンドリュー バンエッセン、クリニック(足病医学・留学・研修)University of South Australia -Biomechanics- Workshop 受講終了
2022年 
公益社団法人日本柔道整復師会最高栄誉帰一学術賞を受賞


腰痛や肩凝りの原因は足裏にあるかも
関節痛や坐骨神経痛の原因
膝痛いの原因は足裏にあるかも
足の痛みや慢性痛を治そう

1.足は全身のアライメントを支える重要な要素

足は、身体の基盤としての役割を果たしています。つまり、全身のアライメントをサポートし、正確なバランスを維持する重要な要素なのです。足に異常がある場合、それは身体の他の部分に波及することがあります。足首、膝、股関節、腰など、多くの関節と筋肉が連携して動作します。したがって、足のどこかに問題があると、その問題が全身に広がり、痛みや不調を引き起こす可能性があるのです。

全身のアライメントを支える要素

歩行やランニングの際、足の動作は非常に複雑で精密です。足首の角度、膝の屈曲、腰の位置など、これらの要素が正確に調和していないと、身体に不均衡が生じ、痛みや怪我のリスクが高まります。


2.足の問題が引き起こす身体の変化

足部の変動・変位や問題がある場合、身体にさまざまな影響が及びます。
以下に、足の変形が身体に及ぼす一般的な影響について説明します。

姿勢の変化

足の変形や問題があると、身体の姿勢が変化することがあります。例えば、足のアーチが崩れると、全身のバランスが乱れ、特に脊椎や骨盤の位置に変化が生じることがあります。このため、姿勢が前傾や後傾、片側に傾くなど、不自然な形態を取ることがあります。

歩行パターンの変化

足部の変動・変位がある場合、歩行パターンにも影響を与えます。足の安定が崩れていると、歩行時に足裏への負荷が均等でなくなり、特定の部位に過度の負担がかかります。これが歩行パターンを変化させ、痛みや不快感を引き起こすことがあります。

正しい歩行姿勢と間違った歩行姿勢
正しい走る姿勢と間違った走る姿勢

筋肉の不均衡

足の異常により、周辺の筋肉にも影響を及ぼすことがあります。例えば、足のアーチが崩れると、足関連の筋肉に不均衡が生じ、一部の筋肉が過度に緊張し、他の筋肉が弱まることがあります。これは痛みや筋肉の疲労を引き起こす可能性があります。

関節への影響

足の問題が進行すると、膝、腰、または脊椎など他の関節にも影響を及ぼすことがあります。特に、膝の変形や腰の不調が足の問題に連動して発生することが多くあります。これは身体の連鎖反応として捉えられます。

O脚とX脚の矯正
側弯症の脊椎

要するに、足の変形や問題は、身体全体のバランスや機能に大きな影響を及ぼすことがあります。この影響は、姿勢、歩行パターン、筋肉の不均衡、関節への連鎖的な影響など、多くの要素にわたります。したがって、足の健康は身体全体の健康に密接に関連しており、足に問題がある場合、適切な治療を受けることが重要です。


3.典型的な足跡・足圧と関連する障害

整った機能的な標準的足型  

1.足整型(整った機能的な標準的足型)

足整型は、足部内側縦アーチ部への荷重はなく、その他の足底に均等な足圧分布を認める。身体のアライメントや姿勢が理想的であり、身体各部位に痛みや傷害を認めない場合に多い。

土踏まずがない扁平足  

2.扁平型(土踏まずがない)

扁平型は、荷重により足部内側縦アーチが低下し、足部アライメント(骨配列)が崩れ、足底のアーチ部にも足圧分布を認める。非荷重では骨配列に異常を認めない事も多い。

関連する傷害

足底筋膜炎 ・ 下腿部痛 ・ 膝関節痛

胼胝と足底筋膜炎の足型  

3.前後型(中足部に足圧がない)

前後型は、前足部と後足部の間の中足部(外側から内側にかけて横断的に)で荷重が認められない。
特に、前足部内側と母趾、踵部に足圧が強く分布する。

関連する傷害

胼胝(中足骨部痛)・ 踵骨棘(足底筋膜炎)・ 前足部痛(前足部幅広)

踵骨部に足圧が強い足型  

4.後足部型(踵骨部に足圧が強い)

後足部に足底圧が強く分布している型。身体アライメント異常の程度が大きく、脚や体幹の関節による代償作用の範囲を超えた状態で後方荷重となり、歩行時の後足部(踵)への衝撃、及び身体動揺が大きい。

関連する傷害

腰痛 ・ 膝関節痛 ・ 肩凝り

浮き指は膝痛と腰痛を引き起こす  

5.浮趾型(足趾圧がない)

浮趾型とは、足趾部が床から浮いた状態であるため足底からみた足趾圧が認められない。一方、浮趾のため中足骨骨頭部での足底圧が高い。歩行では趾で十分な踏み切りができないため推進力が低下する。

関連する傷害

中足骨骨頭痛 ・ 膝関節痛 ・ 腰痛

趾が内側に曲がっている足型  

6-1.趾内転型(趾が内側に曲がっている)

趾内転型は、趾が屈曲・内転位をとり、特に第4・5趾に強く現れる。屈曲が強い場合には趾腹が小趾球部に接触する。足底圧は趾部で弱いが、前足部(中足骨骨頭部)に強く分布する。歩行推進時の踏み切りは中足骨骨頭部で行う。

関連する傷害

第1・2中足骨骨頭痛 ・ 中足骨骨頭痛(胼胝・マメ)・ 膝関節痛

前足部が内側に向いている足型  

6-2.前足部内転型(前足部が内側に向いている)

前足部内転型は、後足部に対して前足部から趾まで内転した型で、第5中足骨基底部が外側へ突出し、前足部内側(第1・2中足骨骨頭部)に足圧が強く分布する。歩行推進時の踏み切りでは中足骨骨頭部に負荷が大きくかかる。

関連する傷害

第1・2中足骨骨頭痛 ・ 下腿部痛 ・ 中足骨骨頭痛(胼胝・マメ)

左右非対称型足圧は側弯症の前兆  

7.左右非対称型(左右の足跡・足圧が違う)

左右非対称型は、足圧の分布に左右差が生じているものを言う。左右非対称な荷重は、立位姿勢や歩行時において下肢や上半身に捻れの力が加わっている事が多い。

関連する傷害

姿勢の不均等(側弯症)・ 片側性膝関節痛 ・ 片側腰痛


4.足専門の柔道整復療法で全身の健康と調和を促進する

接骨院・整骨院における足専門療法として、足整療法があります。この療法は、 欧米諸国の足病学を精査し、柔道整復師の領域に適した方法として取り入れた療法です。

足整療法では、足の状態を正確に評価するために、あしあとカルテという専用の機器が活用されます。この機器は足の圧力分布や足跡のパターンを計測し、足の問題点を明示化します。足のアーチタイプや歩行パターンの異常を特定することで、治療やリハビリテーションのアプローチをカスタマイズし、痛みや不調を根本から改善する手助けとなります。

要するに、バイオメカニクスの理論に基づく足整療法は、足の健康が身体全体の健康に与える重要な影響を考慮に入れ、足に関連する問題を解決するための効果的なアプローチです。足の状態を詳細に分析し、足の問題を特定することで、個別の治療計画を策定し、身体の不調を根本的に改善することが可能です。身体の痛みが足に由来する可能性を無視せず、バイオメカニクスの原理に基づく足整療法の重要性を理解しましょう。


日本フットヘルス協会認定の足整療法支援ツールは高い品質と安全基準に従っており、柔道整復師が患者に高品質なケアと治療を提供するのに役立っています。



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